うつ病とは
うつ病とは、どういった病気なのか、また、そのために起こる症状とは?
「うつ」は、ストレスが多い現代社会では増加しています。
うつのはじめのころどう思うのでしょうか?
- 気のせいかな?
- 自分の努力が足りないのかな?
- 疲れがたまっているのかな?
- 身体の調子が悪いのかな?
このようなうつの初期はそのままよくなることもあります。
これが「うつ」は「こころの風邪」と言われる理由の一つかもしれません。しかし、病状によっては自殺など命にかかわる「こころの肺炎」にこじらせてしまいます。うつは、きちんと治療すればほとんどの場合良くなります。
『うつ病』は「気持ちの弱さ」や「努力が足りない」といったもので起こるのではありません。『うつ病』は「脳の病」です。「気持ち」の問題ではなく、(ストレスなどによって)「体(脳)」が変化しているために起こる病気です。
日本において『うつ病』は、一生の間に14-15人に1人がかかるもので、特別な病気ではありません。また、アメリカ での生涯有病率は日本の約2倍といわれており、日本も欧米化する仕事のシステムや家庭・地域環境など社会が複雑化し、これからさらに多くのストレスを抱え る人が増えると予想されています。
『「体(脳)」が変化しているために起こる』さまざまな症状とは?
うつは、「こころ」の調子だけが悪くなると思われがちですが、実は「こころ」と「からだ」の両方の調子が悪くなります。症状の現れ方は、1人1人違い、「からだ」の不調が中心になることもありますし、「こころ」の不調が中心となることもあります。
『こころ』の変化
- 一日中嫌な気分が続き、気が晴れない。
- 動作や頭の働きが、いつもよりゆっくりになる。
- いつもなら決断できることが、なかなか決められない。
- 何かをしようという意欲がわいてこない。
- 気持ちが落着かない。
- 趣味など好きなことに興味がなくなる。
- 何を考えても悪いほうにしか考えらない。
- 自分はだめな人間だと思う。
- 自分は生きる価値がないと思う。
- 死にたくなる。
など
『からだ』の変化
- 食欲がなくなる。
- 好きなものを食べてもおいしくない。
- 食がすすまないからどんどんやせる。
- 夜は寝つきが悪い
- 夜中に何度も目が覚める
- 朝は暗いうち目が覚める。
- いくら寝ても寝た気がしない。
- 身体がだるい。
- 他:頭痛、めまい、動悸、しびれ等々。
- 内科などで検査や治療を受けて「たいしたことがない」などと言われる。
など
当外来では、うつに関わる血液中の物質を検査し、より良い治療を目指しています。
『うつ』は、症状が1人1人違う上に、さらに外見で判断することが難しい病気です。
そのため、血液成分を調べ、変化の情報を手に入れておくことは、科学的根拠に基づくより良い治療をする上で重要と考えています。外見では、『糖尿病』にみ えなくても、『血糖値』がその指標になり、治療をする上で重要な情報になっていることと同じですね。
具体的には、
『神経の活動を助ける物質(脳由来神経栄養因子:BDNF)』
brain derived neurotrophic factor (BDNF)
『神経と神経の間の信号(神経伝達物質:モノアミン)の代謝産物』
ノルアドレナリンの代謝産物:3-methoxy-4-hydroxypnenylglycol (MHPG)
ドパミンの代謝産物:homovanillic acid (HVA)
セロトニンの代謝産物:5-hydroxyindoleacetic acid (5-HIAA)
を測定します。
これらの成分を測定することで1人1人にあった治療を目指します。血液成分を調べ、『科学的根拠に基づく治療』を試みるのは、山形県(南陽市)だけでなく、おそらく東北地方・隣県(宮城県・仙台市、福島県・福島市、新潟県・新潟市)でも初めてのことです。
※当法人では血液成分の検査は佐藤病院のみになります。